「教団許せぬ」空気 政権、質問権へ一気 「世間学」研究者の懸念

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聞き手・桑原紀彦
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 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求を視野に、文部科学省が「報告徴収・質問権」を行使して教団の調査を進めている。この権限に基づく初の調査だが、憲法が保障する「信教の自由」の観点から慎重に行うべきだとの指摘もある。日本社会の同調圧力を「世間学」として研究する佐藤直樹・九州工業大名誉教授は、教団への批判一色に染まった世の中の「空気」を憂慮する。

 ――教団に報告徴収・質問権を行使する意向を岸田文雄首相が表明したのは10月17日。それから1カ月余りという速さで権限が行使されました。一連の経過をどうみますか。

 今回の権限行使は、政権が「世間の空気」を読んだ、ということ。「旧統一教会を許してはならない」という声で一色に染まった世間の空気に政権があらがうのは難しい。自民党も、これまでの教団との密接な関係が批判され、世論をなだめたいとの思いがあるのだろう。このまま裁判所への解散命令請求まで突っ走っていくのではないか。

 一方で、基本的人権の中核とも言える信教の自由の観点から、報告徴収・質問権の行使や、その先にある解散命令請求をどう考えるか、という議論は高まっていない。

「解散命令請求せよ」傾く世論

 ――どういうことでしょうか。

 戦前・戦中の政府による宗教…

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