キックで引き寄せた流れ 大津緑洋、寡黙なエースの雄弁なプレー

堤之剛
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 (27日、全国高校ラグビー大会1回戦 山口・大津緑洋15―7富山第一)

 寡黙でも、そのプレーは雄弁だ。

 前半10分過ぎ、大津緑洋のCTB増田琉斗(りゅうと)(3年)が仲間からつながったボールを自陣で受けた。ゴール前右のタッチ際まで蹴り返す。

 狙い澄ましたキックで得たラインアウトを起点に、モールを組んで攻め込む。

 増田もそこに加わると相手をすり抜け、インゴールへ。10―0とリードを広げ、試合の流れを大きく引き寄せた。

 周囲の評はほぼ一致する。

 「口数は多くない」「あまりしゃべらない」

 ただ、背番号12に寄せられる信頼は厚い。

 主将のナンバー8林万一心(まひろ)(3年)は幼稚園からのつきあいだ。主将に就いた際、増田に副主将を任せた。

 「クールな男だけど、試合で体を張って前に出てくれる」と林。

 小学生や中学生のころの増田は体が小さく、目立たない存在だったという。急成長したのは高校に入ってから。

 現在は身長177センチ、体重82キロ。フィジカルの強さも目を引き、ぐんぐん前にでるようになったという。

 チームを支える存在でもある。

 富山第一との試合で先制トライを挙げたWTB岡崎紘大(よしひろ)(3年)は、もともとボールキャッチが苦手だった。

 そんな岡崎に捕球やジャンプの仕方を教えてくれたのが増田だった。

 岡崎は一目、置く。

 「増田はバックスでもエースだし、チームでもエース」

 大津緑洋は2大会連続で1回戦を突破した。

 目標のベスト16へ。

 寡黙なエースが引っ張っていく。(堤之剛)

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