政府が昨年12月16日に閣議決定した国家安全保障戦略(NSS)など安保関連3文書では、同盟国の米国だけではなく、日本と同じ外交・安全保障上の課題解決をめざす「同志国」との連携も打ち出した。念頭にあるのは軍事的にも経済的にも台頭する中国。キーワードは「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)だ。
FOIPは「法の支配」に基づく秩序の実現などをめざし、2016年に安倍晋三首相(当時)が提唱した。「力」による一方的な現状変更を進めようとする中国に対抗するねらいがあった。今回策定されたNSSでも、FOIPというビジョンの下で同盟国や同志国と連携していくことについて「我が国の安全保障にとって死活的に重要である」と強調した。
「防衛計画の大綱」に代えて策定された「国家防衛戦略」では、さらにその考えが鮮明になっている。中国を念頭に「力による一方的な現状変更やその試みに対抗し、我が国の安全保障を確保するためには、同盟国のみならず、一カ国でも多くの国々と連携を強化することが極めて重要である」と指摘した。
その中で最初に挙げたのは豪…

防衛費増額・安保3文書
外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」など3つの文書を改定は、日本の安全保障政策の一大転機となりそうです。多角的にお伝えします。[もっと見る]