第45回寂聴さんが「古典の日」を呼びかけた理由 千玄室さんが振り返る

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岡田匠
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千玄室さんに聞く②

 「紫式部日記」の1008年11月1日のなかに歴史上初めて「源氏物語」が出てくる。千年後の2008年11月1日、京都で「古典の日」が宣言された。その中心になったのは瀬戸内寂聴さんと、茶道裏千家の前家元の千玄室(げんしつ)さん(99)だ。千さんは寂聴さんを「絆を創る人」という。

 ――古典の日について教えてください。

 1994年に平安遷都1200年を迎えました。ワコールの創業者で京都商工会議所の会頭だった塚本幸一さんに頼まれ、私が記念事業の委員長になったのです。それが終わると、今度は、源氏物語が書かれてから千年がやって来ます。

 そのころ、寂聴さんと会うと、「千さん、このごろの若い人たちは勉強はするけれど、古典を知らないのよ」と言うのです。源氏物語をはじめ古事記日本書紀万葉集枕草子といった古典はすばらしい。

 京都の哲学者の梅原猛さんも加わり、古典の楽しみを広める会を作りましょうと動き出しました。古典をひもとき、日本人としての誇りを京都から発信しなければなりません。

 ――06年に千さんが代表になり、寂聴さん、梅原さん、ドナルド・キーンさん、冷泉(れいぜい)貴実子さんら8人が「源氏物語千年紀」の呼びかけ人になりました。

寂聴さんは同じ女性作家として紫式部や清少納言も意識していたようです。記事の後半で千玄室さんが語ります。

 08年11月1日に源氏物語…

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