新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の葬儀や火葬をめぐり、政府は感染対策をまとめたガイドラインを改定し、制限を大幅に緩和する方針だ。これまでは遺体を「納体袋」で包むことを推奨し、遺体に触れることを控えるよう求めていたが、コロナ禍前に近い形での最後のお別れが可能になる。年明けの早い時期に改定される見通しだ。
改定案では、遺体の鼻などに詰め物をして体液が漏れ出ないようにすれば、接触による感染リスクは極めて低くなり、通常の遺体と同様に取り扱うことができるとしている。
具体的には、指針にあった内容について、①「遺体への接触を控える」という記載を削除。遺体に触れた場合は手指消毒する②外傷などがある場合をのぞいて「納体袋」は原則不要③通夜や葬儀は原則執り行う。遺族らが濃厚接触者でも、症状を考慮し、感染対策を徹底すれば参列できる――などと改定する。
また、遺体を取り扱う医療関係者や葬儀業者の従業員らに対しては引き続き防護服や手袋の着用を求め、遺族らにもマスク着用の基本的感染対策を求める。
現状の指針はコロナ第2波が拡大していた2020年7月に作成された。「遺体においては、飛沫(ひまつ)感染のおそれはない」としながら、①接触感染を避けるために遺体に触れることを控える②「納体袋」への収容を推奨(少なくとも顔の部分が透明な袋を推奨)③通夜や葬儀は「今後の社会状況の変化や遺族などの意向を踏まえ、執り行うことが可能かどうか検討」。濃厚接触者の参列は無症状でもオンラインを活用するなど対面を避ける取り組みを推奨――などとしていた。
だが、指針作成から2年以上がたち、重症化リスクの低いオミクロン株が主流となり、感染対策と社会経済活動の両立が進む中で、亡くなった肉親との最後の対面を求める声が強まっていた。加藤勝信厚生労働相は今年10月に指針の見直しを表明し、事務方が専門家と科学的な知見を踏まえて改定作業を進めてきた。
「悔いあるお別れは、悲嘆を長引かせる」
感染して亡くなった人のお別れをめぐっては、指針にそぐわない厳しい運用もあり、問題になっていた。
現状の指針では、火葬した遺…

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