中国の「ゼロコロナ」政策がいよいよ終わりを迎えます。
1人の感染者も見逃さないための大規模なPCR検査、徹底的な隔離とエリアごとの封鎖を繰り返してきた習近平(シー・チンピン)政権は12月7日、これまでの厳しすぎる対策をやめました。
来年1月8日からは水際対策も緩め、入国者に義務づけていた隔離もなくなります。
この3年間のゼロコロナ政策とは何だったのか。この政策が終わることの歴史的な意味とは。
中国の感染症の歴史に詳しい青山学院大学の飯島渉教授(医療社会史)に語ってもらいました。
――中国のゼロコロナ政策の終焉(しゅうえん)をどう見ていますか。
2020年以来の世界的な新型コロナウイルスの流行を「起承転結」で考えるなら、今回の中国政府の政策転換は「結」の始まりだと言えるでしょう。大きな節目です。
世界の国々が「ウィズコロナ」にかじを切ったあとも、地球上の80億人の人口のうち14億人を擁する中国が強硬な抑え込みを継続して集団免疫を獲得しないでいることは、それ自体がリスクでした。新型コロナの世界的な収束にとって、より時間のかかる状態が続いていました。
――このタイミングでゼロコロナ政策を終わらせる中国政府の判断は妥当でしょうか。
私は歴史学を専門としていますので、医学や公衆衛生の面からの判断はできません。
ただ、3年間に及ぶ経過をふりかえってみると、今回の政策転換は、大きな衝撃を伴う「ハードランディング」での着地を中国政府が選択したということで間違いないでしょう。
オミクロン株が拡大し、感染状況はすでにコントロールできない状況にあったのだと思います。そうなると、いつの段階でゼロコロナ政策をやめるのかという、時期の選択肢しかなかったのではないでしょうか。
どういう疫学的な見通しがあって、いまの状況を選択したのかはわかりません。ですが、さまざまな想定を比較したうえで、徐々に対策を緩めるよりも、ハードランディングのほうが最終的な混乱が少ないという判断をしたという印象を受けています。
ハードランディングは政治的判断
――有無を言わさぬ突然の隔…

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