第3回「まだ日本企業で消耗してるの?」 大手やめて手に入れた理想の生活
午前9時、朝日が差し込むマンションのリビング。三須雄介さん(30)はホットコーヒーを片手に、MacBook Airを立ち上げた。
「まだJTCで消耗してるの?」
自分のツイッターを開くと、こんな言葉が躍る。日本企業をJTC(Japanese Traditional Company)と呼ぶなど、あえて挑発的な言葉を使う。大学時代に趣味で始めたツイッターだが、フォロワーは7千人まで増えた。
そこから、ブログやYouTubeに誘導して集客し、広告収入で稼ぐ。会社はとっくの昔に辞めた。誰にも依存しない人生。会社にも、政治にも――。
もともとはレールに乗った人生を歩んでいた。
さいたま市で生まれ育ち、都内の私立高校を卒業。1浪して慶応大学経済学部に入学すると、サークル活動に明け暮れた。3年になって、周りと同じように就職活動を始めた。
円安の進行による好景気の折、多くの企業が採用人数を増やしていた。
周りの友人は大手銀行やコンサルタント会社、証券会社や商社から次々と内定をもらうなか、自分は京都に本社を置く東証1部上場の大手精密機器メーカーを選んだ。
堅実な経営で知られる「手堅いBtoBメーカー」。福利厚生も充実している。他の業界に進んだ友人に比べ、給与は決して高くはないが、別に高級腕時計や外車に興味があるわけじゃない。「これで人生安泰だ」。そう信じて疑わなかった。
だが入社早々、強烈な違和感を覚えた。
慶応大学を卒業し、新卒で日系の大手精密機器メーカーに就職。だが入社初日に、ある「儀式」が待ち受けていました。その後、いかにして理想の生活にたどりついたのか。「まだ日本企業で消耗してるの?」。その言葉の裏にある真意に迫ります。
4月1日の朝に待っていたの…
- 【提案】
だったら、そんなつまらなくても安泰な日本企業の雇用の枠を、真面目(だけ)が取り柄の人たちに譲ってあげてほしい。就活の時点で。
- 【提案】
「JTCで消耗」する生き方に価値がなく、それを捨てて高知県のインフルエンサーのオンラインサロンに加わる「自由」な生き方がそこまで素晴らしいものであるならば、他ならぬこの記事を執筆した記者の方や、企画にゴーを出した編集担当者の方が朝日新聞社で