中国の「ゼロコロナ」政策への抗議が各地に広がって1カ月が過ぎた。政府は厳しい締めつけと政策の急転換で反発の声を封じたが、参加者は、監視社会の恐怖をも超える理不尽さを感じていたことを取材に明かす。政治に無関心であることが「賢い」とされる社会で、若者が連帯して政権批判のうねりを生んだ衝撃は、今もなお大きい。
28日、上海市中心部の通り「ウルムチ中路」は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあってか道を歩く人はまばらだった。ここで数百人以上が集まった抗議活動が起きてから1カ月。警備用に設置されたフェンスはほぼ取り除かれ、交差点ごとに立っていた警察官の姿は消えた。
だが、上海市に住む20代の女性会社員にとって生々しい記憶は消えていない。
11月27日、女性はツイッターの動画を見て鼓動が速まるのを感じた。前日、この通りで若者らが政府を厳しく批判する声を上げた姿を捉えた動画だった。
中国からツイッターにはアクセスできないが、女性は多くの友人がそうしているように、海外のサーバー経由でネット接続する仮想プライベートネットワーク(VPN)を使っていた。
「家でぬくぬくとサッカー・ワールドカップを見ていていいのか」。自分に問いかけた。政治的な活動に参加したことはない。身元が割れれば、当局からどんな圧力がかかるか分からない。それでも、「参加しなかったら後悔する」。タクシーに飛び乗った。
午後6時ごろ、前日の抗議現…
- 【視点】
中国社会の現状を丁寧に説明する記事で、一般の人々の憤りと恐れに共感しました。こうした海外メディアのインタビューに答えることも怖いことだと思いますが、怒りが上回っているのでしょう。感染の全体像や死者数は明らかにされていませんが、実際に多くの方

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