第10回すぐ横道にそれるジブリ映画 タイパ時代でも倍速視聴されにくいわけ

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聞き手・島崎周
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 映画やドラマを早送りで見る「倍速視聴」が広がっています。映画の制作者が意識することはあるのでしょうか。宮崎駿監督の新作映画「君たちはどう生きるか」(2023年7月14日公開)を制作中のスタジオジブリに、プロデューサーの鈴木敏夫さん(74)を訪ねました。ジブリ映画にとっての「時間」とは。

すずき・としお スタジオジブリ代表取締役プロデューサー。1948年、名古屋市生まれ。徳間書店に入社。アニメージュ編集部などを経て、85年、スタジオジブリ設立に参加。89年からスタジオジブリ専従となり、以後ほぼすべての劇場作品をプロデュースする。

 ――かけた時間に対する効果を示すタイパ(タイムパフォーマンス)という言葉がよく聞かれるようになりました。そのひとつの現象として倍速視聴があります。

 僕ね、実はやりますよ。ニュースはそれで見ているんです。ずいぶん長くやっているんですけれど、夜7時のニュースを30分そのまま見るのは、かったるくてね。全部録画して1.3倍とかで倍速視聴しています。リアルタイムで見ると、時間がもったいない。けちなのかもしれないけれど。

 名古屋の生まれで、中日ドラゴンズのファンです。野球の試合って今、長いんですよ。年間約140試合、全部録画して、その日のうちに見る。ここは大事というところはそのまま見て、それ以外は倍速でという風に分けるんです。

筋金入りの倍速視聴派だという鈴木さんは、ジブリ映画について「倍速しにくい作品」と言います。その理由は――。「トトロ」「ハウル」「千と千尋」など、名作の舞台裏を交えて語ります。

どう時間を盗むか

 ――なぜ、そうやって見るようになったのでしょう。

 18歳のときに読んだ本が面…

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