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第18回39歳、発達障害でひきこもり 「ごちゃまぜ」の扉をノックした

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山内深紗子
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 心は暴れ馬。人間関係がうまく築けなかった。高校を卒業後、美容院のアシスタントになった。

 でも、一度に二つのことができない。ドラッグストアの店員も続かなかった。

 「なんで『普通』になれないんだろ」

 ひきこもり、オーバードーズもした。35歳で発達障害の自閉スペクトラム症だとわかった。

 「あそこなら可能性が」

 主治医に薦められ、石川県輪島市にある共生拠点「輪島カブーレ」の扉をたたいた。

 輪島市の上森(うえもり)みゆきさん(39)は、就労型の福祉サービスで雇われた。配食の仕事から始め、今はそば屋で働く。時給895円。両親と同居する実家から通う。週5日、夕方から午後9時過ぎまで、そばをゆでたり、サラダを盛りつけたり、コーヒープリンを作ったり。

 ミスしても叱られない。

 「一度に二つはできなくても、察する力がすごい。料理が出来上がる時はさっと器を差し出せるよね」と同僚が教えてくれる。

 午前中は、施設のジムでボクササイズをして汗を流す。

 「今日、きついね」

 「あそこのケーキ屋さんおいしい」

 「こないだ休んでたけど、大丈夫?」

 ジム友ができ、とりとめない会話ができるようになった。

 「お疲れさま。煮物持ってきたよ」

 夜、そば屋で働いていると、銭湯から出てきたおばあちゃんが声をかけてくれる。

 「うれしいな。ありがとう」と笑顔で返す。

 落ち込んでも「しゃあない」と気持ちを切り替えることができるようになった。

 夢もできた。大谷翔平さんの試合を米国で観戦することだ。

 「これからは、楽しく生きたい」

 高度経済成長期の価値観を手放してーー。「弱い」とされてきた人たちが寄り合って持続可能な社会をつくる。石川県輪島市での取り組みが全国から注目を集めています。

■障害者を中心に「ごちゃまぜ…

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