通園バス置き去りを防げ 名札に発信機→乗降状況をスマホに通知
通園バスに置き去りにされた子どもの死亡事故が相次ぐ中、ソフトウェア開発などを手がける「ワイイーシーソリューションズ」(横浜市中区)は、事故を防ぐためのスマートフォンアプリを開発した。
園児一人ひとりの名札にメダル状の小型電波発信機(ビーコン)をつけ、バスの乗降を確認するドライバーらの前を通ると、手元のスマホに各園児の乗降の状況を瞬時に知らせる仕組み。同社は1月中にも販売を始めたいとする。
ビーコン(直径約3センチ、厚さ8ミリ、重さ11グラム)は、太陽電池で動き、生活防水機能付き。バスの乗降を確認する園スタッフらのスマホがセンサーの役割を担う。画面には、乗車予定の園児の一覧表が表示され、園児がスタッフらの前を通って乗降するたび、バスマークがつき、あるいは消え、各自の乗降状況が一目で確認できる。
そのデータは園の責任者らにも送信できる。また、ビーコンを忘れた場合にも、園児一人ひとりに割り当てられ、名札の裏に印刷されたQRコードを読み取ることで、乗降を確認できる。通園バスなどには一切の工事や機器の設置も必要はないという。
同社は、このシステム導入のための費用は、園児30人分当たり二十数万円になる見通しと説明する。ビーコンのサービス利用料として園児1人当たり月300円前後かかるという。
静岡県牧之原市の認定こども園で9月、通園バスに3歳女児が置き去りにされ、熱射病で死亡した。これを受け、国は来年4月から、通園バスに安全装置を設置することを義務化する方針を打ち出しているほか、さまざまな安全対策の支援を決めている。
同社ソリューションサービス事業部の山木誠さんは「悲しい事故を繰り返してはならないとの思いでソフト開発を進めてきた。ビーコンとQRコードを併用することで使い勝手のいい防止策が構築できた」と話している。問い合わせは同社(045・662・0881)。(進藤健一)