韓国に対ウクライナ軍事支援を要請、NATO事務総長「武器が必要」

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ブリュッセル=玉川透
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 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は30日、訪問先の韓国・ソウルで講演し、ロシアによる侵攻が続くウクライナに対し、韓国が直接的な軍事支援を決断すべきだと述べた。韓国は紛争中の国に兵器を提供しない政策をとっており、ウクライナ支援は経済・人道支援にとどめているとされる。

 韓国の学生らを対象に講演したストルテンベルグ氏は、韓国と同様の政策をとっていたドイツノルウェーなどの同盟国が、ロシアのウクライナ侵攻後に方針を転換したと指摘。「独裁や専制政治に勝ってほしくないのであれば、(ウクライナの人々に)武器が必要だと気づいたからだ。それが現実だ」と語った。

 さらに中国や北朝鮮などを念頭に、「もしロシアのプーチン大統領が勝てば、他の権威主義的な指導者たちに武力行使で欲しいものが手に入るというメッセージが伝わる」と述べ、「最後はあなた方の決断にかかっている」として韓国側に軍事支援を強く促した。

 ウクライナへの韓国の軍事支援をめぐっては、米紙ウォールストリート・ジャーナルが昨年11月、韓国政府が米国に弾薬を売却したと報道。韓国政府は殺傷兵器の提供を否定しているが、米国を経由する形で事実上の軍事支援が行われているとの指摘もある。

 ストルテンベルグ氏は31日に訪日し、岸田文雄首相と会談する。ロシアと中国が接近するなか、インド太平洋地域での安全保障上の課題などを協議し、アジア諸国と連携強化をめざす。

 一方、フランス政府は30日、ウクライナへの軍事支援の一環として、「数千発」の砲弾を豪州と共同生産すると発表した。AP通信が伝えた。

 パリで共同会見した仏豪の国防相によると、製造するのは155ミリ砲弾で、仏軍事企業ネクスター社が砲弾の火薬を製造する豪企業と提携する。数量については「数千発」としか明らかにされていないが、長期的な支援になる見通しだ。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は30日、訪問先の南部ミコライウ市で記者会見し、「強力な決断をタイムリーに行うことが肝要だ」と述べ、あらためて迅速な支援を求めた。

 一方、ウクライナが提供を求…

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