ボクシングの具志堅用高、タモリ、フレディ・マーキュリー、メッシなど、古民家を改装したギャラリーの柱や壁に雑然と掛けられた大小約100枚の似顔絵。
顔の特徴をうまく捉えているというだけでなく、実は風変わりな点がある。
どれも天地を逆さまにした写真を見て描いた「逆さに描く絵」だということだ。
そんな絵ばかりを描いているのは、さいたま市南区の岡本まゆみさん(50)だ。「逆さだと絵が苦手な人でも実は簡単に描ける。まずは体験してほしい」と話す。
逆さに描く絵は、一般的にイラストの練習方法の一つとして知られている。
描き方は簡単だ。
著名人の写真を逆さにして目の前に置き、それを見ながらはがきサイズの画用紙にマジックで似顔絵を描くだけだ。
岡本さんの場合、画用紙の上側からあごの輪郭と耳を描き、口、鼻、目、まゆ毛、おでこ、頭の順に下へ下へと進めていく。
線ははっきり、しわは大胆に描くことがコツだという。
1月、さいたま市浦和区の日本茶喫茶・ギャラリー楽風(らふ)で開かれた岡本さんの個展。会場には、逆さに描いた各界の著名人の似顔絵のほか、逆さに描く工程を順に見せた約10枚の絵や、似顔絵を回転させられる大きなパネルも置かれている。
逆さに描く絵を体験できるコーナーもあった。
記者も試してみたら…
小さい頃から絵が苦手だった記者も試してみた。
有名プロレスラーの写真を前に、思い切りよく描くことだけを心がけてペンを走らせること約5分。
よくわからないままできた絵を恐る恐るひっくり返すと、自分でもびっくりするほどよく描けていた。
なぜだろう。岡本さんによる…