慈悲の心、国の未来変えられる 出家した研究者が語るミャンマー仏教

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聞き手・大滝哲彰
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 ミャンマー国軍によるクーデターから2月1日で2年が経過した。国民の9割が仏教を信仰する国だ。ミャンマーの最大都市・ヤンゴン郊外にある寺院で出家した経験を持つ、東京大学東洋文化研究所の特別研究員・川本佳苗さん(仏教学)に、ミャンマーの国民や政治と仏教のつながりについて話を聞いた。

 ――出家したのはいつですか。

 2008年~11年、ヤンゴンの仏教系の大学に留学しました。休暇を利用してヤンゴン郊外の瞑想(めいそう)寺院で出家し、寺院の中で3~4カ月間の修行をしました。ミャンマーでは、出家は3日や1週間で終わる寺院もあり、気軽にできてハードルの低いものです。男性はこうした出家を慣例として最低1回は経験します。

 ――実際に暮らしてみて、仏教が人々の生活に与える役割をどう感じましたか。

 日常生活のなかに当たり前に寺と仏教があり、ちょっとした相談や悩み事があれば、カウンセリングのように僧侶に話しに行きます。

 加えて、お布施の文化があります。日本の仏教よりも輪廻(りんね)と業がセットで信じられていて、死後に生まれ変わる先の場所・体質などあらゆる条件付けは、全て今生の人生と過去の人生がしてきた行いで決まります。

 少しでも悪い行いを減らして、良い業を積む。お布施も良い業なので、ミャンマー人は普段から分け与える、施すという習慣が身についています。私が友人に「そのワンピースいいね」と言うと、次の日にはそれを私にくれるんです。それくらい気前の良い人たちです。

仏教が支えるアイデンティティー

 ――なぜそれほどまでに仏教と生活が密接しているのでしょうか。

 ミャンマー人のアイデンティ…

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