大統領は心から謝罪した 祖国留学の在日韓国人を襲った逮捕・拷問

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武田肇
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現場へ! 独裁が奪った青春②

 「独裁権力の暴力に深く傷ついた在日同胞の被害者と家族の皆さんに対して、大統領として国家を代表し、心から謝罪と慰労の言葉を申し上げます」

 2019年6月、大阪市で主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開かれ、韓国大統領文在寅(ムンジェイン)が来日した。日韓関係が悪化し、メディアの関心は首相だった安倍晋三との会談が見送られたことに集中したが、サミットの前日、文は在日韓国人を招いた懇談会の席で歴史的な発言をした。

 念頭にあったのは、韓国が独裁政権だった1970~80年代、祖国に留学した在日韓国人の若者らが公安機関の拷問によって「北朝鮮のスパイ」にでっち上げられ、投獄された一連の人権侵害だ。この時代に違法捜査が横行したことは05年に韓国政府が設置した「真実・和解のための過去事整理委員会」の調査で明らかになっていたが、大統領が公式謝罪したのは初めてだった。文と同じメインテーブルに座った李哲(イチョル)(74)は「大統領が心を込めて謝罪したのは驚きだった」とふり返る。

 李は熊本県生まれの在日2世…

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