海外に生活の拠点を移す日本人が増えています。外務省の海外在留邦人数調査統計では、昨年10月現在の推計で日本人の永住者は約55万7千人と過去最高を記録。増加の背景や日本の人口減少に与える影響について、人口問題に詳しい福井県立大学の佐々井司教授に話を聞きました。(聞き手・平井恵美、堀内京子)
――日本人の海外永住者がコロナ禍でも増え続けています。
このところ非常に強くなった、日本の閉塞感(へいそくかん)が背景にあるのでしょう。最初から永住目的で海外に出られる方が増えている印象です。日本の人口が減るなか、海外に永住する日本人が増えているというのは異常事態です。
賃金や労働環境、社会の多様性などの面で、日本より欧米諸国に相対的な魅力を感じる人が多くなっているのではないでしょうか。閉塞感が解消しない限り、永住者の増加傾向は続くと思います。
生きづらさ感じ、海外に活路
――永住者と3カ月以上の長期滞在者の合計は、コロナ禍前の2019年に過去最多の約141万人となっていました。いつごろから、移住者は増え始めたのですか。
2000年ごろからです。日…