酒折連歌賞、大賞に佐賀の古賀さん 正岡子規にいのち吹き込む
言葉を重ねる歌遊び「連歌(れんが)」の発祥の地と言われる甲府市の酒折にちなんだ第24回酒折連歌賞(山梨学院大学など主催、朝日新聞社など後援)の受賞者が決まった。
3万2877点の応募作から、大賞には佐賀県唐津市の古賀由美子さん(67)、小中高校生が対象のアルテア部門の大賞には兵庫県姫路市の小田愛瑠(あいる)さん(17)が選ばれた。
酒折連歌は、ヤマトタケルノミコトが酒折宮で老人と歌を詠みあったことが起源とされている。酒折連歌賞では、出題された五七七の「問いの片歌」5句から一つを選び、五七七の「答えの片歌」をつくり、一つの歌として完成させる。
大賞の古賀さんは、問いの片歌「丸刈りの正岡子規も野球青年」を選び、「マウンドに立てば世界の真ん中になる」と答えた。
俳人、そして野球好きで知られる子規は、人生の後半は結核と闘い続けた。
古賀さんは「野球が大好きだった彼をマウンドに立たせて、大きな野望を抱かせたい」と思い、答えの片歌を思いついたという。
選考委員の一人、宇多喜代子さんは「早世の子規に青春のいのちを吹き込んだような魅力がある」と評価した。
小田さんの歌は「物語あなたのページひらいてみれば」という問いに、「ゼウスよりたった一言『おまえしだいだ』」と答えた。
「高校生活が折り返し地点になり、気持ちを整理したり進むべき道を考えたりすることが増えた。日記をつけるような感覚で片歌をつくった」という。
「スケールの大きな時間感覚が表現されている」と選考委員のもりまりこさんは評した。
表彰式は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、昨年に引き続き開かれない。(米沢信義)
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