東電が原発賠償の基準改定 相次いだ「過少」判決受け、慰謝料を増額

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編集委員・大月規義
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 東京電力福島第一原発事故の損害賠償で、東電は31日、新たな支払い基準を発表した。自主的避難等対象区域(23市町村)の妊婦・子どもの追加は見送られたが、福島県の県南や宮城県丸森町を含め計148万人の慰謝料が増額される。今後の訴訟では、裁判所が示す和解案での決着を検討するという。(編集委員・大月規義

 原発賠償の中で多くの被害者に共通した損害については、国の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)が、対象範囲や金額の目安を賠償指針として決める。この指針に基づき、東電が具体的な支払い基準をつくり、被害を受けた個人や企業などからの申請を受け付ける。

 今回の新基準は、原賠審の指針が昨年12月、9年ぶりに見直されたことに伴う対応だ。背景には、全国で約30件起きた集団訴訟で、国の指針通り支払ってきた東電の賠償では「過少」とする判決が相次いだことがある。

 新基準では、事故直後にどれだけ被曝(ひばく)しているか情報が不足する中、着の身着のまま避難を命じられた被害者に対し、第一原発の20キロ圏には1人30万円、第二原発の8~10キロ圏には15万円が追加賠償される。

 長期避難でふるさとが変容した慰謝料は、居住制限区域避難指示解除準備区域に1人250万円となった。ふるさと変容は、多くの集団訴訟の判決で認められており、新基準では広野町や南相馬市原町区など緊急時避難準備区域にも、1人50万円が支払われる。

 国の避難指示が遅れたことも…

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