囲碁の名勝負、34年撮影する81歳 職員もあぜんとした鉄人ぶり
囲碁の日本棋院東京本院(東京・市ケ谷)の専属カメラマン、香山由志子(よしこ)さんは、太平洋戦争開戦の年に生まれた81歳。常駐の職員、スタッフの中でダントツの最高齢だ。
囲碁のプロ棋戦は通常、毎週月曜と木曜に打たれる。香山さんは東京で打たれる対局の撮影を一手に引き受ける。対局開始の午前10時、深夜に及ぶ終局時、注目カードの対局室には、たいていこの人がいる。碁盤を挟む両対局者を上から下から、左から右から、さまざまなアングルでパパッと撮って、次の目当ての部屋に向かう。
主催紙の新聞記者は自社棋戦を取材すればことが済む。香山さんは名人戦など七大棋戦から中小の棋戦まで、すべてが取材対象だ。だから記者がいる部屋には必ずいる。記者がいない部屋にも行く。一回りも二回りも若いどの記者よりもはるかに多くの現場を踏んできた。
対局のない日は膨大な写真の整理のほか、各紙の記事の切り抜き、館内各スポットの掲示に回る。ホテルで表彰式などのイベントがあれば、フルサイズのカメラ2台と大口径のレンズ2本、それに三脚を担いで出動する。
「鉄人」である。欠勤は昨年…