中国の習近平(シーチンピン)国家主席は12月31日夜、国営中央テレビ(CCTV)などを通じて国民に向けて新年のあいさつを届け、団結を呼びかけた。習氏の後方の本棚に置かれた27枚の写真には、習氏がいま伝えたいメッセージが込められているとされる。その中の1枚が、特に注目を集めている。
約15分間のあいさつで、習氏はまず、「わが国は引き続き世界第2位の経済地位を維持した。国内総生産(GDP)は120兆元(約2280兆円)を超える見通しだ」と述べ、経済面での実績を強調した。
中国の指導者が北京の中南海にある執務室から新年のあいさつを行うのは毎年の恒例で、習氏は10回目となる。習氏の後方の本棚には、国内外での活動や家族との写真が飾られ、その数は年々増えている。今年は27枚が置かれ、うち17枚が新しいものに取りかえられていた。
習氏が2022年に視察した新疆ウイグル自治区や香港での写真のほか、22年10月の中国共産党大会で政治報告を行う習氏の写真もあった。ただ、中国のメディア関係者らが特に注目しているのが、習氏の左後方に置かれた写真だ。撮影時期は不明だが、江沢民元国家主席、胡錦濤前国家主席と習氏の3人が並んで立っている。
習氏はあいさつの中で、22年11月に亡くなった江氏に触れ「彼の遺志を継いで、新時代の中国の特色ある社会主義事業を前進させなければならない」と訴えた。胡氏には言及していない。
最も目立つ場所の写真 込めた意味は
3人が並ぶ写真を最も目立つ…
- 【視点】
「本棚」がとうとう「写真立て化」してしまったようです。習近平氏の「本棚」を神戸大学教授の梶谷懐先生と分析した記事を書いたことがあります。チェルヌイシェフスキーの「何をなすべきか」など、青春期に文化大革命がぶつかった世代が読んだとされる書物が