A-stories「適温で暮らしたい 気候危機と住まい」
ドイツ北東部、ポツダム。
ベルリンに暮らす建築家で起業家の金田真聡さん(41)は、「ポツダムのスラム街」と呼ばれた巨大団地群が、省エネ改修によって変化する様子を2016年から見続けてきた。
日本に対する降伏勧告が宣言された街としても有名なポツダム。きっかけは、団地の省エネ改修プロジェクトが進んでいることを伝える新聞記事を読んだことだった。団地をあたたかく改修するのは「社会問題の解決」も目的だという。
どう社会問題の解決につながるのか。
興味を抱いた金田さんはプロジェクトの関係者に連絡を取り、すぐにポツダム市のドレビッツ地区に向かった。
「ポツダムのスラム街」とも呼ばれた団地群が…
約3千世帯、5500人ほどが暮らす団地は東ドイツ時代に建設され、約半数は市営住宅になっていた。老朽化が進み、富裕層や若い世代が離れ、移民や貧困層の割合が増えていた。治安の悪化も懸念されていた。
金田さんが訪れる数年前、団…