第10回「役所は男性社会のまま」子育て世代の女性、市議になり気づいたこと
女性議員の割合が少ないとされている北海道内で、全国で最もその比率が高い議会がある。札幌市の隣に位置する江別市。議員の一人を訪ねると、その強みが見えてきた。
昨年12月上旬、雪が深まる江別市内のゲストハウスで、困窮者向けの食料の無料配布イベントが開かれていた。
「パンも卵も持って行って良いんだよ」。訪れた人に明るく話しかけるのは、2019年から市議を務める猪股美香(38)だ。
福島県鏡石町出身の猪股は、江別市とは縁もゆかりもなかった。故郷である福島を離れたのは、11年3月に起きた東京電力福島第一原発の事故がきっかけだ。
当時、妊娠4カ月。事故による放射能汚染を恐れて出産場所に悩んでいたところ、道が被災者の出産を支援していることをSNSで知った。この年の5月、札幌市へと自主避難した。
無事に出産を終えると、さらに不安が増した。放射能の影響を気にして、幼い子どもに食べさせる食品に悩むようになったからだ。
「皆が安心して同じものを食べられる場所をつくりたい」
意気投合した自主避難者の女性仲間らと16年、食材の安全にこだわった子連れ向けのカフェを立ち上げた。拠点は江別に移した。
女性比率1位は「たまたま」?
大学で政治学を学び、もとも…

統一地方選挙・衆参補選2023年
ニュースや連載、候補者など選挙情報を多角的にお伝えします。[もっと見る]