オンデマンドバスは採算が取れるか 老いた街の若返りを託して実験へ
井石栄司
時刻表や決まった運行経路がなく、予約に応じてきめ細かなルートで走る乗り合いの「オンデマンドバス」の運行実験が10日、堺市の泉北ニュータウンで始まる。高齢化が進む地域の足としてだけでなく、車を持たない子育て世帯の足としても期待されている。
丘陵地域を開発した泉北ニュータウンはアップダウンが激しい。街びらきから半世紀以上が過ぎ、高齢化率も4割近くまで進む。
足腰が弱った高齢者にとって、バスは利用しやすい運賃である一方で、バス停が遠いと買い物や病院に行く足も遠のく。タクシーなら利便性は高いものの、運賃が高くつくことが多い。この両者の利点を持つ交通手段が求められていた。
市としては、ニュータウンへ転入する若者世帯を増やし、街を若返らせたい。最近は車を持たない若者も多く、乳幼児を抱えて出歩く親にとっても、手軽に使える公共交通があれば、移住先としての魅力が増す。
高齢者にも若者にも魅力がある公共交通とは――。堺市が目をつけたのが、オンデマンドバスだった。
利用者はインターネットか電…