第20回スマホでお見合い、彼のもとへ密航 待ち受けていたブローカーの転売

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クアラルンプール=西村宏治
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連載「それでも、あなたを」ミャンマーマレーシア編①

 行こうか、やめようか。

 2022年5月、ラフマトゥ(19)は迷っていた。

 スマートフォンで話をしただけだけれど、ラフィク(26)は優しそうな人だ。

 彼の住むマレーシアには大好きな姉もいる。

 でも、と思う。

 ここからマレーシアまでの距離は、軽く2千キロを超える。パスポートもビザも持っていない。

 つまりは密入国だ。

 どんな危険が待っているか分からない。

 行こうか、やっぱりやめようか――。

 それでもこのときはまだ、あんなことになる、とまでは思っていなかった。

 ミャンマー西部、ラカイン州の村に住むラフマトゥに縁談が舞い込んだのは、その年のはじめのことだ。

 仏教徒が多いミャンマーにあって、ラフマトゥは少数派イスラム教徒のロヒンギャだ。

 ロヒンギャの暮らしは、日に日に苦しくなっていた。

ブローカーの手引きで婚約者の彼のもとへ行くはずが、女性は暴力を受け、別のブローカーに売り飛ばされてしまいます。異変に気づいた彼は…

オンラインで初めて見た互いの顔

 2017年、ミャンマー国軍…

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連載 それでも、あなたを 愛は生きる力に 2022-23(全27回)

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