国際社会の亀裂が深刻さを増し、ネットの世界では摩擦や衝突が後を絶たない。なんだかトゲトゲしい現代の分断社会を生き抜くために、私たちができることは何か。
ヌードや性的なシーンの撮影で、演じる側と演出する側の意向を確認し、両者が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう調整する「インティマシー・コーディネーター」の浅田智穂さんへのインタビューを通じて考える。
あさだ・ちほ 通訳として日米の映画に携わり、2020年に米国の専門組織「Intimacy Professionals Association」(IPA)のオンライントレーニングを受け、インティマシー・コーディネーターの資格を取得した。
――昨年の新語・流行語大賞の候補にも選ばれました。
2年半前は誰も知らなかった言葉が取り上げられたのは驚くべきこと。一過性のもので終わらせてはいけない、とも思っています。
――背景には、映画業界で明らかになった性暴力の問題があります。
問題があらわになって、何とか解決したいと動いた一つがインティマシー・コーディネーターの導入だったと思う。ただ、インティマシー・コーディネーターを入れることイコール解決策ではありません。性暴力の問題は解決しておらず、闇は深い。
裁判になりにくく、謝罪もペ…