万博キャラ「ミャクミャク」の誕生秘話 しっぽに込めたオマージュ
一風変わった風貌(ふうぼう)で注目を浴びる2025年大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」。昨年7月、全国から集まった3万3197作品から愛称が命名されて以降、その見た目のユニークさもあってインターネット上などで話題を集めてきた。開幕まで2年あまり。会場建設費の高騰や全国的な万博の認知度の低さが課題となるなか、盛り上げ役として注目されている。1970年大阪万博の「あの」シンボルにも影響を受けたというミャクミャク誕生の舞台裏を、デザインを手がけたデザイナーで絵本作家の山下浩平さん(51)に聞いた。
――関西との縁は
私は熊本生まれの神戸育ちで、大学は大阪。30歳くらいまで関西にいました。いまは東京に住んでいますが、大阪・関西万博のことは意識していました。太陽の塔がある万博記念公園(大阪府吹田市)にはよく遊びに行っていたんです。大阪万博があった70年に私はまだ生まれていませんが、高校、大学と美術を学んでいた自分にとって、なにかエネルギーを感じる場所だった。太陽の塔って建築でもあるけど、やっぱり作品なんですよね。あんな巨大な作品が公園で見られるなら、行かない手はない。落ち込んだ時とか悩みがある時に、太陽の塔に会いに行っていました。
――公式キャラクターデザインの公募は21年11月に始まりました
コロナ禍の真っ最中で、仕事が減っていたり、外にも出られなかったりで、もんもんとしていた時期でした。夜に都外の山で昆虫採集や生き物観察するのが好きなんですが、それも2、3年行けず。ただその前年の20年に発表された万博のロゴマークを見て、「こんな面白いデザインが採用される万博なんだ」と。キャラみたいなものが公募されたら、私も応募したいと思っていました。
――赤い細胞の連なりで「いのちの輝き」を表したロゴに、自由に形を変える青い水を組み合わせたキャラクターとされています
色鉛筆とスケッチブックで…