発達障害の児童らに「精神的虐待」 ×印カードを首から… 長野

安田琢典 清水大輔
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 長野県飯田市の佐藤健市長は6日、発達障害などを持つ子どもが通う市内の「放課後等デイサービス」施設で、2021年度に児童に対する「精神的な虐待」があったことを明らかにした。市は施設を運営する法人に改善するよう助言指導をするとともに、県に報告している。

 市によると、この施設の職員は利用者の児童に対し、約束を守れなかった場合に首から下げたカードに「×」印をつけたり、背中を机代わりにして連絡帳を記入したりするなどの行為があったという。22年1月に関係者から通報があり、同年2月に市は法人の職員や利用者らから聞き取り調査を行った。その結果、「精神的な虐待」に相当するとして、同年4月に県に報告した。

 佐藤市長は会見で「関係者や市民のみなさまに心配をおかけしている」と述べた。また、「施設内でミーティングを定期的に開いたり、県の研修を受けたりするよう助言指導を行い、市に実施状況の報告があった」と説明し、「人権が侵害されることはあってはならない。研修や指導を怠らずに続けていくことが、行政としてすべきことだ」と話した。

 この施設の職員による精神的虐待についての地元紙報道を受け、阿部守一知事は4日の定例会見で、「重く受け止めなければならない」と話したが、詳細については「今の段階では言えない」としていた。

 厚生労働省によると20年度、障害者福祉施設従事者などによる障害者への虐待があったとの相談、通報件数は全国で2865件、そのうち632件が虐待と判断された。(安田琢典、清水大輔)

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