第25回家族は火花散る溶鉱炉だった 「完全自殺マニュアル」著者の処方箋は

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聞き手・興野優平
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 いつの時代も変わらないのが人間関係の悩み。ただ、現代ではとりわけ、それが居場所のなさや生きづらさにつながっているのかもしれません。かつて「完全自殺マニュアル」で話題を呼んだフリーライターの鶴見済さん(58)は、そんな人間関係への処方箋(せん)を昨年刊行した「人間関係を半分降りる」(筑摩書房)で書きました。思春期のころから人間関係で悩み続けたという鶴見さんに、自分らしくいられる居場所について聞きました。

 ――「人間関係を半分降りる」で「人間には醜い面があるのだから、少し離れてつながろう」と書いていたのが印象的です。

 いまは家族の距離が近すぎると思います。すごく閉じた関係の中で、加害行為やいさかいが起きるのは当たり前。濃縮されて火花を散らす溶鉱炉のようになっています。

 僕自身、家族には苦しんできました。子どものころから、兄からは暴力を振るわれ続けた。父も厳しくて、高校生のころには食事を家族でそろってとる方が珍しくなりました。クリスマスケーキさえそれぞれの部屋で食べた。

インタビューの後半では、日本人がとらわれがちな居場所の3領域、またそこから逃れるヒントや鶴見さんの実践について聞いています。

 兄とはいまでも会っていませ…

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