ブラジルの首都ブラジリアで8日、昨年に落選したボルソナーロ前大統領の選挙をめぐる「不正」を訴え、軍の介入などを求めたデモ参加者ら約4千人が暴徒化して、大統領府や国会議事堂、最高裁判所に侵入した。ブラジリア当局によると数時間で鎮圧され、約400人が拘束された。
ボルソナーロ氏は在任時から、選挙の電子投票の「不正」を根拠を示さずに主張してきた。その訴えに共鳴した支持者らが8日午後3時ごろ、ブラジル国旗などを身にまとい、大統領府や議事堂の窓ガラスを割って内部に押し入った。地元メディアによると、支持者らは大統領府にある歴代大統領の肖像画を壊し、議事堂でも、屋根の上で旗を振ったり議員席でポーズを取ったりした。警察は放水砲を使って押し戻したり、上空からヘリコプターで催涙ガスをまいたりしたという。警察はゴム弾も使用したとみられている。
8日夜時点で、具体的な人的被害は明らかにされていない。ただ、AFP通信によると、馬に乗っていた警察官が引きずり下ろされて殴打される場面がSNSで拡散した。AFP通信の写真記者を含め、少なくとも報道記者5人が襲われたとの情報もある。
ルラ大統領「暴動の責任はボルソナーロ氏にあることは明らか」
ブラジルのルラ大統領は出張先のサンパウロ州で記者会見し「狂信者たちが行ったことは前代未聞で、実行者や資金提供者は厳しく罰する。暴動の責任は、支持者をあおり続けたボルソナーロ氏にあることは明らかだ」と述べた。8日夜にはブラジリアに戻り、大統領府などの被害状況を確認した。事態の沈静化や責任者の追及を急ぐ方針だ。
一方、ボルソナーロ氏は暴動…