鳥インフル93万羽を殺処分 茨城は今季3例目、採卵鶏の1割強に
西崎啓太朗 藤田大道
茨城県は9日、城里町の養鶏場で高病原性が疑われる鳥インフルエンザが発生し、飼育する採卵鶏約93万羽の殺処分を始めたと発表した。県内では今季3例目の発生で、殺処分対象は県内の採卵鶏の1割強にあたる計約205万羽に上っている。
県によると、城里町の養鶏場は県内でも最大級の規模。8日午前に「死ぬ鶏が増えている」と県に通報があった。簡易検査では13羽のうち12羽が陽性と判明。遺伝子検査で高病原性が疑われる「H5亜型」の感染が分かった。
県は9日、自衛隊へ災害派遣を要請した。殺処分と埋却は10日ほどで終える見込みという。また、周辺3キロ以内の養鶏場にいる約12万羽の移動を制限するなど防疫措置も始めた。
全国各地に感染が広がるなか、県は養鶏場の緊急消毒などを呼びかけてきたが感染は拡大してしまった。県畜産課の担当者は「養鶏農家は防鳥ネットの設置などできることは全てやっている。対応はやり尽くした感がある」と頭を抱える。
卵の流通への影響も懸念される。同課の棚井幸雄課長は「卵の価格は高い状況。県内だけでなく全国の養鶏場でも鳥インフルエンザの発生が続いており、価格への影響が出ないか心配だ」と話した。
県内の養鶏場での鳥インフルエンザ発生は、昨年11月のかすみがうら市、同12月の笠間市に次いで今季3例目。既に計約112万羽が殺処分されている。農林水産省の統計では昨年2月現在、茨城で飼育している採卵鶏の数は全国で最も多い約1530万羽だった。(西崎啓太朗、藤田大道)
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