W杯で注目のビデオ判定、最初は大相撲 大記録止めた「世紀の誤審」

有料記事

抜井規泰
[PR]

 「三笘の1ミリ」。昨年12月まで開かれたサッカーワールドカップ(W杯)のカタール大会では、ビデオ判定も注目された。

 まげを結い、着物で場所入りする力士たち。江戸時代からほとんど変わらぬ習慣を引きずる大相撲は、時に「時代遅れ」との批判も受ける。だが、日本のスポーツ界でいち早く「ビデオ判定」を導入したのは、実は大相撲だ。

 「世紀の誤審」と呼ばれる一番が導入のきっかけだった。昨年11月に急逝した36代木村庄之助の山崎敏広さんが、その一番を見つめていた。

「誤審」で止まった大記録

 1969年3月10日、3月場所2日目。45連勝中の大鵬は、平幕戸田と対戦した。戸田に押し込まれて俵伝いに残そうとする大鵬。右からはたくが、戸田は前に落ちながら大鵬を押し込み、大鵬に体を預けるように崩れていった。

 立行司22代式守伊之助(のちの26代木村庄之助)の軍配は大鵬。しかし、物言いがついた。戸田が落ちる前に大鵬が俵を割っていたとの判定。行司軍配差し違えで、大鵬の戦後最多連勝記録が45で止まった。

 この22代伊之助の弟子がの…

この記事は有料記事です。残り469文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません