1月上旬。野球日本代表「侍ジャパン」の栗山英樹監督は、米国とオンラインでつないだ画面の向こうに呼びかけた。
「日本代表としてプレーしてほしい」
大リーグ・カージナルスの外野手、日系人のラーズ・ヌートバー(25)はこう答えた。
「期待に応えられるように頑張りたい。そして、できる限りのことをして、日本代表を優勝に導きます」
ヌートバーの傍らには、漢字がびっしりと書き込まれた1個のキャップが、そっと置かれていた。
母・久美子さんの故郷。日本とのゆかりを、より深める出来事があったのは、まだ9歳だった2006年のことだった。
その年の夏。駒大苫小牧(北海道)と早稲田実(東京)が甲子園で、高校球史に残る熱戦を2日間にわたって繰り広げた。そして大会後、全国から編成された高校日本代表が、米国へ遠征した。
その際、一部の選手を預かるホストファミリーを、カリフォルニア州のヌートバー家が務めることになったのだ。
久美子さんは、米国にいながら日本のニュースを通じて、高校3年生の田中将大(現楽天)や斎藤佑樹(元日本ハム)らの存在を知っていた。
米国の野球少年だったヌートバーは、自宅で寝泊まりする日本の高校球児とすぐに打ち解けた。
片言の英語で接してくれる球…
- 【視点】
魂のダイビングキャッチも気迫あふれる打撃も走塁も仲間を鼓舞するパフォーマンスも、激アツすぎます。もはや侍ジャパンになくてはならないヌートバー選手。その情熱の源流が描かれた記事です。 時の流れの重みを感じずにはいられません。 まだ

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