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特別支援学校生、お年寄りの買い物サポート「親切でうれしい」

林瞬
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 一人で買い物するのが難しい高齢者らを支援するため、茨城県結城市で、地元の特別支援学校の生徒がお年寄りの買い物をサポートする取り組みが動き出した。市社会福祉協議会が特別支援学校などと協力し、高齢の利用者と生徒の双方にメリットがある取り組みをめざすという。

 結城市社協によると、絹川地区は、地区内に大きな商業施設がなく、公共交通機関も乏しい。車の移動に不安があったり、大きい荷物を運べなかったりするお年寄りが「買い物困難」に陥りやすいという。市社協の池羽修一さんは「買い物に行けないと、生活ができなくなるだけでなく、生きがいもなくなる可能性がある」と懸念する。

 県立結城特別支援学校にも困りごとがあった。同校高等部のビジネス・ライフ科では、知的障害がある生徒の進路として介護などの福祉職を勧めることが多い。このため、介護施設や老人ホームに出向く実地学習があった。しかし、新型コロナウイルス禍で中止が相次ぐようになり、何とか実地学習ができる場がないかと考えていた。

 そこで、市社協や同校、地域の課題解決をめざす住民団体「きぬがわ」などが話し合い、同校の生徒が買い物に同行する「買い物ツアー」を企画。生徒は買った商品を運んだり、欲しい商品を探したりといったサポートをする役割だ。

 初めてのツアーは昨年11月中旬に実施した。高齢者ら14人が利用し、生徒10人が同行。スーパーでの買い物時、利用者1~2人につき生徒1人が同行した。

 生徒が「食べ物は何が好きですか」と話しかけたり、利用者が「肉とマイタケを一緒に料理すると肉がやわらかくなるんだよ」と生徒に教えたり。会計後は、生徒が商品の袋詰めや荷物持ちを担当した。

 利用者からは「優しく話してくれて安心した」という声があがるなど、評判は上々だった。長瀬みつ美さんは「大人と話すのを嫌がる子も多いのに、親切にしてくれてうれしい。今後もツアーがあったら参加したい」。同校1年の加藤潤哉さんは「最初はどうやってコミュニケーションを取ろうかと思ったけど、だんだん楽しくなってきた」と笑顔で話した。

 このツアーは試験的なもので、今後については、利用者らにアンケートするなどして検討する。自力歩行が困難な高齢者などのケアは資格が必要なため、保健師や看護師などの参加も考えている。

 池羽さんは意気込む。「ふれあいの大切さがわかった。早いうちにもう一度、ツアーを実施したい」(林瞬)

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