民間事業者がネット空間に大きな権限を持つ中で懸念されるのが、事業者が特定の勢力の考え方ばかりを広げるような対応をとったり、「影響工作」を容認したりする可能性だ。
22年10月末にツイッターを買収した米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、同月に投稿したウクライナ侵攻「和平案」が波紋を呼んだ。ロシアが14年に一方的に併合したクリミア半島を、正式にロシア領とするなどといった「ロシア寄り」の内容だった。
マスク氏は、宇宙ベンチャー「スペースX」を通じてウクライナに衛星通信サービスを提供し、米政府・軍ともつながりを持つ。一方で最近、ロシアのプーチン大統領と会話を交わしたとも指摘され、テスラは中国に多くの工場がある。マスク氏が台湾について「中国の特別行政区になることを検討すべきだ」などと発言したこともある。
仮にツイッターがロシアや中国の工作を受けた場合に対応できるのかとの懸念が持ち上がり、バイデン米大統領は22年11月の会見で「イーロン・マスク氏の他国との協力や技術的な関係は、調べるに値する」と述べた。
SNSを通じた外国勢力の「影響工作」とは日本も無縁ではなく、日本政府も対応を問われている。
【前回】ネット空間でロシアを「遮断」企業判断に委ねる危うさ 国際法の空白
ロシアがウクライナに侵攻する中、ビッグテックは、国家への協力や自身のプラットフォームのルール設定によって戦局への影響力を持ってきました。その力との向き合い方の議論は、まだ始まったばかりです。
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「世界は核災害の危機に瀕(…
- 【解説】
実はプーチン大統領自身、これに類するフェイク情報を信じているフシがあります。日本の教科書には広島、長崎に原爆を落としたの米国だという事実が書かれていない、という事実に反する主張をプーチン氏はこれまで繰り返し述べているのです。例えば、昨年10