第2回崩落した天井、ひしゃげて開かない金庫 営業課長は換気口にもぐった

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 ここに1枚の写真がある。

 天井がはがれ落ちて、フロアの奥は埋もれているようだ。階段はあるが、寸断されているみたいで、他の階の状況はうかがい知れない。そんな室内の惨状を、ヘルメットをかぶった男性らが見渡している。

 写真は、大阪市にある三菱UFJ銀行の書類保管庫の中で眠っていた。刻まれた撮影日は1995年1月19日。当時の行員の証言から、阪神・淡路大震災の2日後、三菱銀行兵庫支店の2階を写したものだとわかった。

 兵庫支店は2日前の早朝に発生した阪神・淡路大震災で全壊した。泊まり込みの警備員が救助された後、無人となった店内には、現金や貸金庫内の貴重品、取引のデータがそのまま残されていた。

 顧客の財産を守るためには、店内の貴重品を引きあげ、業務の再開に道筋をつける必要があった。しかし、余震が続き、店内はいつ崩落するかわからない。

 いよいよ本格的に店内に足を踏み入れたのが19日だった。三菱銀行兵庫支店で、支店内の顧客対応を切り盛りする営業課長だった杉江丈二(69、当時41)は、そのひとりだった。

 杉江は発災当日も倒壊したビルの中に入っていた。1階に、支店内の全ての鍵を保管するケースがあったためだ。ビルが崩れ落ちて鍵の場所がわからなくなると、営業の再開が難しくなるためだ。杉江たちは、カギのケースをすぐにビルから運び出せるように通用口の近くに寄せておいたのだった。

 この日、杉江らが2階に行くと、床の一部が完全に崩落し、1階ロビーが見える状態になっていた。

28年前のあの日、三菱銀行兵庫支店は震度7の揺れで建物が全壊しました。当時、支店で働いていた行員たちは、自らの被災と街の復興にどう向き合ったのでしょうか。証言でたどりました。

 「営業時間内だったら、お客…

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