知的障害者施設での不妊処置は「差別であり虐待」 障害者団体が抗議
北海道江差町の社会福祉法人「あすなろ福祉会」が運営する知的障害者施設で、結婚や同居を望む利用者カップルに不妊処置を提示していた問題で、障害者と支援者の団体「ピープルファースト北海道」(札幌市東区)のメンバーなど約20人が12日、同福祉会や町役場などを訪れ、抗議と要望をした。
同福祉会では樋口英俊理事長らが対応した。ピープルファーストの松岡敏雄会長らは障害を理由とした不妊手術について、「差別であり虐待だ。人生を奪い体を傷つける人権侵害で、絶対に許せない」と強く抗議した。これに対し、樋口理事長は「不妊処置は強制でも、施設利用を続けるための条件でもない。本人や保護者らが納得したうえでのことだ」と説明した。
制度上、生まれた子どもは施設サービスの対象外となっている現状については、松岡会長は「子育ての制度がそろっていないからとあきらめず、支援を創造し、可能性を一緒に考えてほしい。あすなろ福祉会のような大きな法人が行政へ交渉したり、国へ要望したり行動を起こせば、たくさんの人が耳を傾けてくれると思う」と求めた。
町役場では応対した福祉担当職員に、「この問題は、国連の障害者権利条約に完全に違反している。町や道だけの問題ではなく、日本全体ひいては国際的な問題だという自覚を持って対処してほしい」などと訴えた。
13日には道庁を訪れ、不妊処置問題を調査するメンバーに障害者を加えることなどを求める。(阿部浩明)
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