第10回自分が多数派だったと気づくために メタバース時代の「想像力」
野波健祐
属性や立場が異なる他者とトゲトゲしくなったとき、「まずは相手の立場で考えよう」と言われるがなかなかに難しい。一時的に他者と入れ替わる、車椅子や妊婦の生活の体験プログラムは数多くあるけれど……。
そんななかで東京大のバリアフリー教育開発研究センターの「クイズ&ギャンブル」は一風変わった試みだ。社会におけるマジョリティーとマイノリティーの立場を体験できるのだ。
参加者はあらかじめ不平等な条件を組み込んだゲームに、そうとは知らずに臨む。ゲームが進むにつれ、有利な条件のチームは勝ち続け、有能感に目覚める。一方の負け組は次第に大差がついていくなかで、知識のなさといった自責の念にさいなまれていく。だが最後にネタばらしがあり、勝者は圧倒的に有利な構造のなかで戦っていたことが明かされる。
同センター特任准教授の飯野…