長く学名なかった巨大ヤスデやっと命名 赤黒のしま模様、動きは遅め
矢田文
京都大や法政大などのチームが12日、沖縄県の石垣島や西表島に生息するヤエヤママルヤスデに学名をつけ、新種として学会誌に発表した。存在は知られていたのに長く学名がないままだったが、ようやく世界共通の名前が決まった形だ。専門家は保全に弾みが付くことを期待する。
ヤエヤママルヤスデは黒と赤の美しいしま模様が特徴。体長7・5~9・2センチほどで、国内のヤスデの仲間では最大の種だ。かつては普通に見られたというが、森林や沿岸部の開発により1980年代以降は数が激減した。
台湾や中国にも似た種がいたが、分類は進んでおらず、学名もついていなかった。2006年には、学名がないまま、環境省のレッドリストに絶滅危惧Ⅱ類として掲載されるという異例の措置がとられていた。
法政大の島野智之教授らは「あいまいな情報のままでは保全もままならない」として、調査に乗り出していた。捕まえた個体の形態的な特徴や、遺伝子解析の結果から、Spirobolus akamma(スピロボルス・アカンマ)として新種記載した。赤と黒の体色に加え、ヤスデは漢字で「馬陸」と表記することや、八重山地方に伝わる民謡「赤馬節(あかんまぶし)」にちなみ命名したという。
ヤスデの仲間は捕食者からの…