名古屋を拠点に活動する「SKE48」の中心的な存在だった須田亜香里さん(31)は昨年11月、13年間のアイドル生活に終止符を打ちました。握手会を通じて多くの人の心をつかんだ「握手の女王」。コロナ禍で握手会は3年間できませんでしたが、最後に特別に握手会が用意されました。ファンとのつながりについて、話を聞きました。
《2009年11月14日、デビューの日も握手会だった。東京ビッグサイトで行われたAKB48のシングル「RIVER」の握手会に、前日にホームページ上で発表されたばかりのSKE48の3期生13人が横にずらりと並んだ》
最初から競争でした。誰の笑顔が一番良いか、「あいうえお順」で来てくれた人に近いところから並んでいき、50音の後ろの方だとだんだん遠くなっていく――そんな中、私は「す」で真ん中らへん……。でも、少し顔を出したりしてアピールして、それを言い訳にしてはいけないなと思いました。握手してもらえない、というのがスタートでした。
一歩一歩、飛び級せずに
《選抜入りするまでは複数人でのグループ握手会だった。12年11月にリリースされたSKE48の4枚目シングル「1!2!3!4! ヨロシク!」で初めて選抜され、握手会でもファンと一対一で対応できるようになった》
選抜に入るまではブログも書くことができず、外に自分を伝えるのは口コミ以外なかった時代でした。今でこそ、ネットでの戦い方を求められますが、口コミでの戦い。
だったからこそ、一歩一歩、飛び級とかせずにちゃんとやってこられたかなと思います。今だと、いきなり爆発的にブレークしちゃうと体力や心がついてこなかったりというのがあると思うのですが、口コミは一番無理がなく、一歩一歩の手応えを楽しみながらここまできました。それはラッキーでした。
「ファンに救われた」という須田さんのインタビューを前後編に分けてお届けします。
《初めは「ちょっとでも立ち位置で前に立ちたい。総選挙で高い順位で呼ばれたい」という時期もあったと言うが、握手会が「支えてくれる」存在になったと言う》
デビューしてアイドルになった時から、「一番になりたい」というのは根本にありました。そういう欲の塊で前に出ていったら、そこにぱっとピュアな気持ちで会いに来てくれているファンの方がいました。ファンの方のまっすぐな愛情を素直に楽しませてもらいました。
私は誰かのファンになったこ…