住宅解体、月内にも着手へ 外環道陥没事故、現場周辺で地盤補修工事

狩野浩平
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 2020年10月に東京都調布市で起きた東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事による陥没事故の現場付近で、緩んだ地盤の補修工事をするための大規模な住宅解体工事が月内にも始まりそうだ。住民にとっては、そもそも同意していなかったトンネル工事で突然、近くの道路が陥没し、立ち退きまで考えざるを得ない事態となっている。

 事故は20年10月18日に同市東つつじケ丘2丁目の住宅街で発生し、市道に幅5メートル、長さ3メートル、深さ5メートルの穴ができた。その前月、現場付近の地下約50メートルで東日本高速道路(NEXCO東日本)による外環道のトンネル掘削が進んでおり、同12月に同社の有識者委員会が陥没事故と工事の因果関係を指摘。同社も謝罪し、翌年2月には補償と、現場付近の地盤を補修する方針を明らかにした。

 トンネル工事は、深さ40メートルを超す「大深度地下」で認可を受ければ、用地買収や住民同意が要らない大深度地下使用法に基づいて進められてきた。このため、事故当時、トンネル掘削工事についてはっきりと認識していない地元住民もいた。

 補修工事は長さ220メートル、幅16メートルの区域で、地中に高さ40メートルほどの巨大なコンクリート柱を多数置くという大がかりなものだ。予定工期は2年。同社は工事区域周辺に立つ住宅約40軒の解体が必要とし、宅地の売却や一時移転の交渉を住民と続けてきた。「住民の方が戻ってくることも想定し、安心して住めるように地盤を補修したい」と同社関東支社の広報担当者。ただ被害住民らの団体によると、転居を重ねることを負担に思う人もおり、多くの住民が戻らないのではないかとしている。(狩野浩平)

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