沖縄戦の元白梅学徒隊、中山きくさん死去 94歳
沖縄戦に16歳で動員され、戦後30年近く語り部活動を続けてきた元白梅学徒隊の中山きくさんが12日、病気のため死去した。94歳だった。葬儀は17日午後2時から那覇市銘苅3の22のサンレー那覇北紫雲閣で。喪主は長男章さん。
太平洋戦争末期、沖縄県立第二高等女学校在学中に白梅学徒隊として動員された。軍民が混在する地上戦でガマ(洞窟)などで負傷兵らの看護にあたり、同級生56人中22人が犠牲になった。戦後長く戦争体験を語ることはなかったが、夫の仕事で広島県や長崎県に住み被爆者たちとの交流を通じて使命を意識。戦後50年が経ったころから修学旅行生らに体験を伝え始めた。
1999年には、九つの全女子学徒隊の体験を残すために「青春を語る会」を元学徒ら7人で設立し、代表として記録集発刊などに奔走。2018年には、男子も含め沖縄戦に動員された県内全21校の出身者らでつくった「元全学徒の会」の共同代表となり、全容のわからない戦没者数の正確な記録を残す活動に力を尽くした。
沖縄が日本から切り離されたサンフランシスコ講和条約発効の日にあわせて、政府が13年4月28日に「主権回復の日」を記念する式典を開いたときには抗議集会で登壇。「沖縄の苦悩を顧みない」と批判し、沖縄の歴史と向き合うよう呼びかけた。(国吉美香)
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- 【視点】
中山きくさん。静かで穏やかな佇まいの中に絶対の確信を込め、一歩も譲らない「証言の重み」があった。中山さんがいるから大丈夫だ、中山さんがいる限り沖縄戦は繰り返されない、そう思わせるほどの存在だった。沖縄戦の実相を追い、記憶の継承の使命を共有す