老舗旅館の「ねこ女将」、コロナ禍に若旦那のひざに乗り励ます
山形県天童市の天童温泉にある1911(明治44)年創業の老舗旅館「松伯亭あづま荘」には、肩書に女将(おかみ)が付くスタッフが2人と1匹いる。その1匹は、かつて全国1位の看板猫となった「ねこ女将」だ。コロナ禍の業績低迷にもめげず、相性抜群の若旦那を励ましている。
ねこ女将の名前は、まいちゃん。体の模様がキジシロの12歳のメス猫だ。尻尾の先までの体長は50センチ近く、昨年12月22日計測の体重は4・3キロ。
宿の近くに住む女将の高橋ゆき江さん(69)に抱っこされ、午後6時ごろに出勤する。以前は午前9時ごろから働いていたが、高齢になり、いまは夕方以降の2時間程度だけだ。
宿に到着したばかりの客の足元にすり寄ったかと思えば、ソファに座る浴衣姿の宿泊客の隣でくつろぐ。宿のスタッフから大好物の高級焼きのりや高級煮干し削りをもらうのも楽しみ。健康状態は良好だ。
まいちゃんは2010年5月、宿から南西に約1キロ離れた舞鶴山(標高242メートル)の山頂で、ゆき江さんの長男で若旦那の和也さん(41)と出会った。和也さんが地元の消防団の演習に向けて仲間と下見をしていた時、遊び回る2匹のメスの子猫を見つけた。
「毛並みが非常にいいので、だれかに捨てられたばかりだと分かりました。2匹の色柄はまったく同じキジシロで、姉妹でした」
周辺に母猫の気配はない。猫が大好きな和也さんはすぐに2匹を保護。最初にすり寄ってきた1匹を山の名にちなみ「まい」と名づけた。動物病院での健康診断で異常はなく、生後約2カ月と分かった。
穏やかな性格で、ほとんど鳴かないまいちゃん。だれにでも分け隔てなく接する。一方、もう1匹のぷーちゃんは警戒心が強い。
まいちゃんは人にかみついたり、爪でひっかいたりしたことは一度もなく、器量の良さが見込まれて、13年、3歳の時に当時の旅館業界では珍しかったねこ女将に就任した。
まいちゃんの人気はネット上…