日本離れた「不法移民」の私 それでもハーバードに行ける米国の現実

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聞き手・西崎啓太朗
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 国境を越える人の移動が活発になっている。もし日本人が異国の地に暮らす外国人となった場合に、人権は必ず大切にされるのだろうか。6歳で米国に移住し、一家全員が「不法移民」となったものの、いまも米国で働き暮らしている田中大史さん(25)に話を聞いた。

 約20年間、「不法移民」として米国で暮らしています。

 日本人の父とフィリピン人の母の間に、静岡県で生まれました。幼いころ肌の色の違いなどでいじめられ、私が6歳のとき、両親は環境を変えようと、母の親戚が暮らす米国に家族で移住しました。

 米国は、世界中から来た移民が力を合わせて発展させた国です。移住したカリフォルニア州では公立小学校に通えました。友人の国籍やルーツは多様で、いじめもなく、すぐ米国を好きになりました。ハーバード大に合格するという夢もできました。

ハーバードを目指した私、健康を壊した両親

 しかし、永住権の申請は通りませんでした。永住権許可の上限が超過しており、取得までは国外で数十年待つ必要があると言われたのです。米国でこのまま暮らし続けたいという思いが強く、一家で不法移民になりました。

 両親は建築現場や老人ホーム…

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    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2023年1月17日15時15分 投稿
    【視点】

    ちょうどきょう、お隣の中国が人口減に転じたというニュースが飛び込んできて、いろんなことを考えていました。少子高齢化による人口減ということで言えば、私たち日本は世界の最先端を走っています。その私たちが向き合わなければならない課題の一つに、この