第16回条約なき領域、未来のサイバー戦に企業ルールを 米政府元高官が語る

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構成・五十嵐大介
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 蓄えた「大きな力」が国家間の紛争にも影響を及ぼすようになっているビッグテック企業。サイバーセキュリティーの専門家の目に現状はどう映っているのか。元米ホワイトハウスの最高情報責任者(CIO)のテレサ・ペイトン氏が、朝日新聞の書面インタビューに応じた。

――巨大IT企業はなぜロシアの侵攻を受けたウクライナなどの政府と連携してきたのでしょうか

 巨大IT企業は、平和で自由なウクライナから恩恵を受けられるからだ。多くのIT大手は、ウクライナ出身の創業者らを抱えている。米メタのメッセンジャーアプリ「ワッツアップ」、(ソフトウェアの開発ツールを提供する)米ギットラボ、(スペルチェックサービスを提供する)米グラマリーなどだ。

 巨大IT企業は起きうるサイバー攻撃の傾向や軌跡を見ることができる。例えば、マイクロソフトの「脅威インテリジェンスセンター」は、ウクライナ侵攻の1日前に警告を発した。この部署が、ロシアがウクライナのデジタルインフラに打撃を与えるために作った(コンピューターの動作に不正を起こす)「マルウェア」を特定した。グーグルは「脅威分析グループ」を活用してロシアの悪意を持ったサイバー部隊を監視し、攻撃をかわすためにウクライナに警告を発した。グーグルは今、ウクライナにある少なくとも150のウェブサイトを保護している。

民間企業の支援と警告「政府しのぐ速度と規模」

――なぜマイクロソフトは、ウクライナを支援したことを大々的に公表したのでしょうか

 マイクロソフトによる支援は…

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