政治・経済、代ゼミ問題分析 大学入学共通テスト
政治・経済
実際の統計数値や模式的なデータを分析する設問が目立ち、数量的理解力が問われた。政治分野では、過去2年は少なかった国際政治の出題が増えたほか、2021年少年法改正の出題が特筆される。
―概評―
典型的には第2問の問6(リサイクル率)のように、学習の機会がなさそうな話題について、設問文の誘導に従って答える設問が多用された。その一方で知識問題もバランスよく配され、少数だが裁判の判例集など専門的な資料の出題も見られた。共通テスト3年目で、出題傾向が安定してきたようだ。
【大問数・設問数・解答数】
・4で前年と同じ。
・30で前年と同じ。
・30で前年と同じ。
【問題量】
・設問数は前年と同じ。図表などの資料の分量も前年並み。
【出題分野・出題内容】
・第1問以外は、一部を除き「倫理、政治・経済」との共通問題。
・大問のテーマは、第1問が主として政治分野・経済分野のデータ分析、第2問が経済分野の総合問題、第3問が政治分野の総合問題、第4問がSDGs(持続可能な開発目標)。
【出題形式】
・正文か誤文を選ぶだけの単純な正誤判定問題の設問数は前年の3から倍増し2021年度並みに。
・該当するものをすべて選ぶ組み合わせ問題の設問数は前年と同じ4。設問中の文章の空欄補充問題、図表問題、その他の組み合わせ問題も多く出題されたほか、センター試験から見られた年代順の問題の設問数が前年と同じ1であった。
・政治と経済の融合問題で、前年まで見られた「共通新聞」に代わり、第1問を県の広報誌の設定に。また、最終第4問では今年も課題探究の設定を採用。
―難易度(全体)―
政治分野では、少年法などの知識問題が目立つほか、前年にいったんなくなった最高裁判決文の出題が復活するなど、やや難化した。経済分野でも、設問文などに説明があるとはいえ、リサイクル率や国内総生産など細かな数量的把握が必要な設問が目立つ。トータルで、やや難化している。
―設問別分析―
第1問
・県広報(資本主義、各国経済、憲法尊重擁護義務、公務員数など) 難易度:やや易
唯一の「政治・経済」独自問題で、どの設問も易しめ。問1は、資本主義・マルクス・ケインズのオーソドックスな出題。問2では、表の2000年の一人当たり実質GDPですぐA~Cが順に日本・韓国・中国だと分かる。問3では、表ウ(ナイジェリア)の原油の割合82.3%と資料文の「モノカルチャー経済の特徴」とを結びつければ容易に正答できる。問4は、環境省の「カーボンニュートラルとは」等のWebページの内容に沿っているようだ。問6は、世界金融危機(リーマン・ショック)を境にして日本の貿易黒字の減少傾向が顕著になったという知識が必要。政治分野の問5・7・8は易しい。
第2問
・経済分野の総合問題 難易度:やや難
問4・問5以外は「倫理、政治・経済」との共通問題。問1~3は地方自治にかかわる設問で、共通テストでは地方自治が頻出分野になっている。需給曲線の問4は易しいが、為替介入の「風に逆らう」「風に乗る」介入や、問6のリサイクル率などは目新しい話題で、解答に迷う。
第3問
・政治分野の総合問題 難易度:やや難
問1・問8以外は「倫理、政治・経済」との共通問題。共通テストでは、2021年度(両日程)・2022年度(本試験)とも国際政治の出題がわずかであったが、今回は問1~3が国際政治の設問で、問4も防衛問題。また、問6では2021年少年法改正が扱われ、特定少年などが出題された。
第4問
・SDGs(持続可能な開発目標) 難易度:標準
問4・問6以外は「倫理、政治・経済」との共通問題。問1・2の地球環境問題のうち、京都議定書・パリ協定の問2は単に正文を選ぶだけの単純な正誤判定問題だが、「政治・経済」としては珍しく、各選択肢の記述が4~5行と長い。(代々木ゼミナール提供)
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