出遅れた再エネの「切り札」 洋上風力はどこまで広がるか
井上怜 松村北斗 長崎潤一郎 土居新平
日本で初めての大規模な洋上風力発電所が秋田県の能代港(能代市)で先月、営業運転を開始し、今月には2カ所目も秋田港(秋田市)で動き出す予定だ。四方を海に囲まれる日本で、洋上風力は再生可能エネルギーの主力電源化に向けた「切り札」との位置づけだが、どこまで広がるのか。
先月22日に営業運転が始まったのは、大手商社の丸紅、大林組、東北電力など13社が出資してつくる秋田洋上風力発電(秋田市、AOW)が能代港に建設した発電所。秋田港の発電所もあわせた33基の規模は計約14万キロワットで、一般家庭約13万世帯分の電気がまかなえる。
今後、一般海域の占用を最大30年認める「再エネ海域利用法」(2019年施行)を受けた国のプロジェクトも秋田などで進む。事実上の第1弾となるのは秋田2、千葉1の計3カ所(計約170万キロワット)。先月28日に公募が始まった第2弾4カ所(計約180万キロワット)は秋田2、新潟と長崎が各1だ。
秋田は国内有数の洋上風力の…
- 【視点】
「我が国が再生可能エネルギーの比率を高めるためには、スケールメリットの働きやすい風力導入拡大の真剣な検討が必要」。東日本大震災翌年の2012年、再生可能エネルギーに関する審議会で、経済産業省が説明した資料の文言です。 当時、洋上風力は