沖縄密約史料 「なぜ今」に疑念も 座安あきのさんのコメントプラス

[PR]

 「有事発生が現実味を帯びる中、『自由に使える基地』に公然とミサイルや爆弾などの軍備拡充が進み、沖縄が再び出撃地と標的になる可能性が高まっている。現在進行形の事案だということを忘れてはならない」

 連載「託された沖縄密約」の第2回で4日に配信された記事「日米首脳会談で『一切ふれない』 沖縄核密約、署名のシナリオ克明に」に、沖縄県出身でジャーナリストの座安あきのさんは、こうコメントした。

 連載では、沖縄返還が決まった1969年11月の日米首脳会談で、佐藤栄作首相とニクソン大統領が返還後の沖縄に緊急時に核兵器を持ち込む密約を結んだ際の、詳細なシナリオの存在を明らかにした。密約の存在は、佐藤首相の密使として米国側と水面下で交渉した若泉敬氏が94年に著書で明らかにした後、佐藤首相の次男が密約の合意文書を公表しているが、それを裏付ける史料で、会談の段取りなどが詳細に書かれている。若泉氏が、直筆で佐藤首相向けに書いたものとみられる。

 座安さんは、この核密約は「本土防衛の最前線に立つ沖縄の役目を運命づけた重大案件」として、記録と歴史的検証の重要性を強調した。

 一方で今回、シナリオの存在を明かしたのが、佐藤首相の次男の娘婿の自民党国会議員であることに「敢(あ)えて疑義を持って注目したい」とした。防衛力強化に向けた動きが続くタイミングで明らかにされたことに、「『核の持ち込み問題』が再燃することへの布石とは言えないか」「為政者には時に苦しい判断がつきものなのだと、『国民の理解』を求める地ならしの一歩にはならないか」との疑念が浮かんだという。

 座安さんは「メディアの執念に圧倒される」と新事実を掘り起こした記事を評価すると同時に、「報じる側は特に、再び『戦前』を迎えようとしていることを強く意識する必要がある」と記した。

 この記事や、座安さんのコメント全文はこちらから(http://t.asahi.com/wmlg別ウインドウで開きます)。座安さんは、1月6日配信の連載第4回「一枚の裏紙、沖縄返還交渉の影に 密使が後世に託した歴史の再評価」にもコメントしています(http://t.asahi.com/wmlh別ウインドウで開きます)。あわせて、お読みください。

     ◇

 コメントプラス(https://www.asahi.com/comment/)は、専門家らが記事にコメントを投稿し、新たな視点や考えるヒントを提供する朝日新聞デジタルの機能です。コメンテーターは130人以上。多様なジャンルの記事でコメントをお読みいただけます。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

今すぐ登録(春トクキャンペーン中)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

春トク_2カ月間無料
  • commentatorHeader
    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2023年1月19日8時43分 投稿
    【視点】

    「沖縄密約史料」に関する一連の記事の筆者です。座安さんの疑念に関して申し上げます。一連の記事の趣旨は決して、沖縄を軍事最前線として捉え米軍維持や自衛隊強化を進める政府の方針や、それを追う報道に棹を差すものではありません。  「なぜ今」、は