第4回本気ですか?社長に問うた 女性登用「仕掛け人」が心に刻む苦い経験
A-stories 「昭和98年」の女性登用 管理職はなぜ増えない?
年功序列で上下関係に気を使い、メールの宛名の順番にも注意を払う。
採用は一般職と総合職に分かれ、女性の多くは一般職として採用される。
男性は年齢が上がれば管理職になる人も多いが、女性の管理職はゼロ。「会議室、とっておいてくれる?」。そんな、名もなき仕事が女性にふってくる……。
約900人の社員が働く東証プライム上場のインキメーカー、サカタインクスは、明治29(1896)年創業の老舗だ。
新聞用インキの製造販売から始まり、インキ売上高で世界3位をほこる。
目の前の仕事を淡々と積み重ねて、定年まで勤め上げる。よくいえば、「古き良き昭和」の空気が残る会社だった。
去年までは。
そんな社風がいま、変わりつつある。
上司は肩書で呼んでいたのを、役職のある人もない人もさん付けで呼ぶようになった。
昇進は男女問わず実績を考慮するようになった。
こんな変化を仕掛け続けているのが、唯一の女性部長、人事部の金沢成美さん(51)だ。
金沢さんは外資系企業で長年、女性登用を進めてきた。その手腕を買われて2022年4月、サカタインクスに転職した。
目指すゴールはひとつ。サカタインクスを、時代の変化に耐えられる企業に変えることだ。
「この会社には、変われる土壌がある」
そう信じられるのには、理由がある。
「女性登用」に欠かせぬ条件
慶応大学を卒業後、風通しの…
- 【視点】
「私が日本を出た理由」シリーズと共に、「昭和98年」連載を非常に興味深く読みました。日本の生き残りをかけて根本的に変えるべき社会のあり方、そしてそれをなかなか達成することができない閉塞感や女性たちの怒りやフラストレーションに満ちた状況がわか