第3回60代パートを「女の子」と呼ぶおじさん社員 そのズレが止まらない
A-stories 「昭和98年」の女性登用 管理職はなぜ増えない?
会社にはトイレが一つしかなく、男女兼用で使っている。
同僚の多くは用を足した後、次の人のことを考えて黙って掃除する。
それなのに、便座に尿やウォッシュレットの水を飛び散らせたまま出てくる男性社員がいる。ちぎれたトイレットペーパーが、床に散らかっている時すらある。
そして近くにいる女性社員に、こう声をかける。
「トイレ、汚れてるよ」
宮城県内の40代の女性は、社員が20人足らずの小さな事業所で働く。トップの男性は70歳前後で、ほとんどの男性社員が50代以上だ。
女性社員は3割ほどいるが、「そもそも、女性が男性と対等な存在として思われていない気がします」。
女性がそう思わざるを得ないのには、理由がある。
「これは事務の女の子に任せよう」
「電話に出た女の子がさぁ……」
おじさん社員たちが、社内外の女性を「女の子」と呼ぶのだ。
中には、60代のベテランのパート女性を「女の子」と呼ぶ役員もいる。
「営業の男の子」とは呼ばないのに。
仕事内容に性差はなく、あからさまな女性差別を受けることもない。
だが、そういう呼び方をされるたびに、心の中に汚泥がたまっていくような気分になる。
「『女の子』を連発する社員には怒りと軽蔑を、世の中に対しては絶望感を抱きます」
女性が怒りを覚えるのは、ほかにも理由がある。
小学生の子ども2人を育てて…
- 【視点】
「女の子呼び」から日本の社会が見えます。記事の女性の気持ち、よくわかります。私は夫から「あんた」「おまえ」と呼ばれるのが好きではありません。例えば人前で私がぐずぐずしていたり何かを間違うと「あんたねえ」と怒ったり。こちらは「あなたは」という