第14回人件費を抑えたがる日本 投資家が促す「人への投資」に転換できるか

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編集委員・木村裕明
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 賃金が上がらない国、日本。なるべく人件費を抑え、株主還元の原資と内部留保を確保しようという経営から、多くの企業は抜け出せていない。ところが最近、投資家が企業に「人への投資」を促す動きが出ている。これを契機に、日本企業は舵(かじ)を切れるのか。

 製薬大手エーザイの内藤晴夫・最高経営責任者(CEO)に7日未明、米国から吉報がもたらされた。

 米バイオジェンと共同開発した新しいアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を、米食品医薬品局(FDA)が条件付きで承認したという知らせだ。

 一時的に症状を改善する従来の薬と違い、認知機能の低下を長期間抑えることを狙った薬で、承認は積年の悲願だった。欧州医薬品庁(EMA)と日本の厚生労働省にも、16日までに承認申請を済ませた。

 「年度内に申請できれば年内の承認が見込める」

 内藤氏は国内承認の見通しについて、7日の朝日新聞のインタビューでそんな期待を語っている。

 画期的な新薬の開発には多額の投資が欠かせない。

 エーザイは次世代の認知症治療薬と、がん領域の新薬の開発に焦点を当て、社員や研究開発に積極投資を続けてきた。

 長期投資を貫くには、四半期ごとの利益を求める一部株主の要求から、自社の戦略を守り抜く必要がある。レカネマブが承認にこぎ着けられたのは、ユニークな情報開示や投資家との対話のおかげでもある。

人材や知財の価値を報告書で説明

 カギになったのは「統合報告…

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    木村裕明
    (朝日新聞編集委員=企業、経済、働き方)
    2023年1月19日12時25分 投稿
    【視点】

    筆者です。お読みになって、これはエーザイという会社の特殊事例に過ぎないと思われた方もいらっしゃるかもしれません。  しかし、エーザイ前CFO(最高財務責任者)の柳良平氏の研究では、TOPIX100やTOPIX500を構成する多くの銘柄でも

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